「何だよ、お前」
どれくらい経ったのかも分からない時。
不意に聞こえた声に視線を上げると、面倒くさそうに見つめる諒ちゃんが目の前に居た。
そんな諒ちゃんを見た途端、グッと眉が寄り勢いよく立ち上がった。
「どうして隠してたのよ!!」
何の理由かもちゃんと言わない私に諒ちゃんは訳の分からない表情をする。
感情が言う事を聞かなくて、話しの理由を言う前に私は叫んでいた。
「は?なに?」
「何って、翔が入院してた事なんで言わなかったの!!」
あと一時間くらいで日付けが変わろうとする寒い夜に、私の声が辺りを響かせた。
諒ちゃんは思い出したかのように一瞬、目を見開きそしてスッと表情を元に戻す。
その見開いて泳いだ瞳を見て、ホントだったんだと実感してしまった。
「…は?何の事?」
そのとぼける姿がやけに苛立つ。
「何の事?って、こっちが何の事だよ!!なんで何も言ってくれなかったの!?翔が入院している半年間、何も知らなかった!」
「……」
「そりゃ留学してた!!けど、言ってくれたって良かったじゃん!!何で隠すの?私は翔の何!?」
一度イラつけば言葉を抑える事なんて出来なかった。
こんなにも隠されてた事が嫌で嫌でたまらなかった。
「…お前、誰に聞いた?」
「誰だっていいじゃん!!今、私が諒ちゃんに聞いてるのは何で隠してたって事!!」
諒ちゃんはバレたんなら仕方ねぇって感じで一息吐き、顔を顰めた。



