「だからどうしろって…」
口から出た言葉がそれだった。
だって、ホントにだからどうしろって感じで、何でこんな女に剣幕を振るわれないといけないのかも分かんなかった。
「だから返せって言ってんの!!楓が入院して戻ってきた時にはNO1なんてもってのほか!でも、それをもう一度NO1にしたのはこの私!!」
「…入院?」
まくし立てて言ってるNO1とかなんてどうでもよかった。
気になったのはそっちじゃない。
だからポツリと呟いた声に女は呆れた表情で私を見た。
「は?アンタ楓の女なんでしょ?もしかして知らないって言う気?そんなはずないでしょ、2年前半年も入院してたんだから」
「…え?」
頭の中が真っ白だった。
考えるよりも頭の中が空白しすぎて何も考える気力すらなかった。
…入院って何?
聞いてない。
「はぁ!?マジありえないんだけど!!どーりでアンタ来ないはずだわ!!その看病したの私だから!!」
「……」
ちょっと待って。
全然わかんないんだけど。
この人、何の話をしてるのだろうか。
「つか、あんた遊ばれてる?彼女が知らないって普通あり得ないでしょ?」
「……」
「ま、楓がアンタなんか選ぶわけないか」
フッと嘲笑的に笑った女の笑いが嫌気にさすより、私の知らない過去を物語っているようだった。
2年前。
そう、考え込んで記憶を辿る。
旅立った時から徐々に思い浮かばせ、暫く経ってハッと思い付いた事が一つだけあった。



