楓が辞めてったの――…
それはどう考えても翔だった。
翔がホストを辞めてからもうすでに9カ月は経とうとしている。
だからそんなに月日が経っちゃったから、もう遠い存在のように感じて今では何も思わなくなってた。
目の前の女はグッと私を睨み、何で私の事を知ってんの?って言う考えなんて今では何も考えられなかった。
けど、私はその女が言ってきた言葉に納得なんて出来なかった。
「…私の所為?」
小さく言葉を吐き出す私に、女は更に目付きを変える。
「楓が辞めたのはアンタしか居ないでしょ?」
「って言うか、それは本人が決めた事でしょ?」
「分かっての?アンタ。楓はずっとNO1だった。そのNO1は私がしたの!!好きだから、楓がNO1になってほしいって思ったから!!」
「……」
「なのに何?あんたの存在だけで辞めたって、冗談じゃないよ!!」
私の存在で辞めた?
そして目の前に居る女が翔をトップにあげた女?
私にとったらついて行けない世界の環境で、見るからに金持ちって感じの女は私よりどう見ても年上だった。
別に私はホストだった翔を好きになったんじゃない。
ただ好きになった人がホストだっただけ。
当時の私なんてホストなんて興味なくて、その話しなんて全然触れたりもしなかったのに今更…



