マンションに着くまでの長距離の間、ただボーっと窓から見える景色を見つめてた。
とくにこれと言って翔とは話さずに、次々と風景を変えて行く景色をずっと見てた。
そして時々浮かんでくるのはママの顔と岩崎さんが言った言葉。
父が私の存在を覚えてくれていた事に嬉しい。って、そう言ってた言葉。
ママは何をどう思って4年の間、会っていたんだろう。
そして、あの人は何をどう思ってママに会っていたんだろう。
家族があるのに、どう思ってママに…
皆が言う。
あの人が居なかったら私は居ないって。
そんなの分かってる。
そんな事当たり前に分かってる。
その日はマンションに帰っても何だかシックリとこなくて、ただ帰ってからはベッドの中で冴えない気分のまま次の日を迎えた。



