少し歩いた先に見えたのは翔の車。
近づいてコンコンとノックする私に気づいた翔はテレビから視線を私に向ける。
そしてドアを開けた私に薄らと微笑んだ。
「ごめん、遅くなりすぎた」
「いいよ。ゆっくり話し出来た?」
「うん。これ、貰ったんだ」
袋を抱えて座ってた私は中が見える様に翔に見せる。
「何?…うどん?」
「そう。あとプリンと。…ママが好きだったんだ、これ」
「へー…良かったじゃん」
「うん。うどんは鍋パーティーでもしよっか」
「二人なんだからパーティーじゃねぇじゃん」
翔はそう言ってクスクス笑う。
「いいの、いいの。翔はどうだった?」
「なんかここら辺すげぇよ。観光地名所。歩き回っても飽きねぇし」
「いい所だよねー…空気が澄んでるし。都会とは大違い」
「だな」
「夏はね、バーベキューが出来る所とかあるんだって」
「へー…んじゃ、また来てみっか」
「うん」
「せっかくだしどっか美咲も探索する?」
「うーん…いいや。明日も仕事だし今度来た時、翔に案内してもらう」
クッと口角を上げて微笑んだ私に、
「わかった」
そう言って翔は車を発進させた。



