暫くしてピンポーンと言うチャイムの音に何故かドキっとした。
…諒ちゃん?
ママの玄関に向かうスリッパの音が耳を掠める。
「あ、諒也くんおかえり」
玄関のドアを開けて聞こえてきた言葉に視線がリビングのドアに向かった。
少し開いていたドアの隙間から姿を現したのは諒ちゃんで…
「うわっ、諒ちゃんおっさんじゃん」
思わず見た瞬間、声に出して笑ってしまった。
「おい、お前。久し振りに会ってそれはねぇだろ」
スーツを着こなした諒ちゃんは持っていた鞄をソファーに置く。
「だって…え?マジおっさんじゃん」
なんだろう。
変わってないと言えば変わってない。
どう言ったらいいのか分かんないけど、昔のイカツイ感じはない。
短髪の薄い茶色はあの頃と変わってない。
ううん。髪も黒色に近くて諒ちゃんまでもが大人になってる。
もうあれから5年も経つんだもんね。
みんな大人になってる。
「つか、お前も老けてんだろうが」
「ひどいよっ、」
「え?だってお前24だろ?」
「つか、葵と一緒ですから」
「まだこいつ24になってねーよ」
「なんか諒ちゃん、やな感じ」
頬を膨らます私に諒ちゃんは鼻でフッと笑う。



