ここ最近、一条くんが姿を現してない事くらい分かってた。
だけど、色んな事がありすぎて、それどころじゃなくなってた。
…ダメだ、私。
一応、担任といえども生徒の事を把握してない私はダメ。
正直、クラスの事より自分の事でいっぱいになってた私は、はっきり言って周りのみんななんてどうでもよかった。
やっぱ、私には向いてないのかも。
名簿を開けて職員室の電話から一条くんに電話をする。
だけど全くでない電話に一息吐き電話を切った。
「なにしてんのよ…」
しばらく時間を置いて、私は一条君の番号をスマホに打ち込み再びコールする。
そのまま私は職員室を出て、人通りの少ない廊下へと向かいそこで足を止めた。
ボタンを押し、新鮮に伝わってくるコールを何気ない気分のまま聞く。
何度鳴らしても繋がらないから切ろうと思った時、
「…はい」
低い、低い、一条くんの声が耳に伝わった。
やっと出た!
「あ、一条くん?」
「あー…もしかして美咲ちゃん?」
声で分かったんだろうか。
一条くんは直ぐに私の名前を呼ぶ。



