暫く見ていた私は仕方なく足を進めた。
躊躇ってても仕方がないって思った私は足を進め、その人との距離を縮めた。
「…あの…」
そう連慮気味にそう呟く私に、男の人はスッと目線を私に向けた。
一瞬驚いた様に思うその表情は、もういい歳であろう男の人。
そんな男の人は、私から視線を逸らそうにもせずにずっと視線を送ってた。
だから…
「あの…」
もう一度口を開いた私に、男の人の口がゆっくりと動いた。
「…美咲か?」
そう告げられた私の名前に一瞬、鳥肌が立つ。
顔なんて…声なんて…何も、何も知らないのに、何でこんな変な直感が巡ってきたんだろうか。
自分を、自分を恨みたい。
「もしかして…」
「大きくなったな。今まですまなかった…」
「……」
目尻を下げて申し訳なさそうにしているのは、
私の…
…お父さん?



