「お前…大丈夫か?」


俯く私に諒ちゃんは覗き込むように見てきた。


「…え?」

「ぶっちゃけ、しんどいんじぇねぇの?」


正直に言うと少し当たってた。

だからそれを悟られない様に、


「そんな事ないよ」


そう言って、私は少し微笑む。


「嘘つけ。泣いてたのバレバレじゃねぇかよ」

「…最近、涙もろくて」

「涙もろいのは辛いから。お前らしくねぇよ」

「そうかな…」

「どーせ、ほら…あれだろ?翔さんの前では平然としてんだろ」


当たってるからなのかも知れない。

思わず、小さく情けない笑みを漏らしてしまった。


翔の前では泣きたくない。

いっぱい負担を押し付けることになるから。


だから、こうやって一人になっちゃうと涙もろい。


「諒ちゃんって…ほんと女観察凄いね。それだけ昔と変わってない」

「わりぃけど、今はそんな観察する暇もねぇから」


“つか、線香あげねぇとな”


さらっと話題を帰る様に付け加えた諒ちゃんはタバコの火を消して居間に向かう。

開けっ放しにしてある居間は丁度、私が座っている位置から見え、諒ちゃんは座布団の上に正座した。