永遠の愛


あの家の話をしてから数日。

あれ以来、その話題をしなくなった。


翔も何も言ってこないし、私も少しは勿体ないかな…って気持ちが芽生えて、どうする事も出来なかった。

だから後少しだけ、ママが住んでいたあの家を、そっとしとこうってそう思った。


“日曜日仕事”

そう言って仕事に出掛けた翔。


とくに何もすることがなくなってしまった私は、久々に行こうと思う所があった。

慣れない物を持って着いた場所はズラッと敷地に埋まる墓石。


記憶を辿ってその場所に着いた瞬間、少し離れた所にある墓石の前に手を合わせた――…


「…一条くん?」


が居た。

振り返った彼はやっぱり一条くんだった。


「あ…。え、何?お母さん?」


そう言った一条くんは私の前に立つ墓石を見る。


「いや、違うけど。…大切な人」

「あー…そっか。お母さんの納骨まだだっけ」

「うん」

「大丈夫?」


そう言ってきた一条くんは立ち上がって手桶に入っている水をゆっくりと墓石に掛けた。


「うん。あ、あのさ…なんか全然話しとかさ、出来なかったけど…なんかみっともない姿見せちゃって…」


涙を堪えきれずに泣いてる姿が今にも目に浮かぶ。

なんにもやる気がなくて、放課後、不意に思い出したママに泣いてしまった。

ほんと…あんな姿を見せるなんて…


「それが普通だろ」


一条くんは水を掛けた後、優しくフッと笑った。