「…んな訳ねぇじゃん。聞く話によると2~3時間待ちとか言ってんのに」
「あぁ…うん、そうだね。でも何で?」
「久し振りに会ったツレがさ、そこのオーナーと知り合いで何個か貰ったからーって」
翔はタバコを咥えたまま換気扇のスイッチを押し、その下でタバコに火を点ける。
「へぇー…凄いね」
「良かったら食べな」
「うん、ありがと!」
「あ、ごめん。つい癖でタバコに火つけてしまった。ちょー、ベランダ行くわ」
「ううん。大丈夫。今から少しだけ食べるから」
「ごめん。すぐ吸い終わる」
「翔も食べる?」
「いや、俺はいらね」
苦笑いの翔は吸いこんだ煙を換気扇に向けて吐き出した。
「翔ってさ、あまり甘いもの食べないよね…」
「食べようと思ったら食うけど、あまり好まないだけ」
「ふーん…」
箱から取り出したロールケーキがいかにもフワフワで食欲をそそり、中に巻かれてある二重のホイップとカスタードがカナリ美味しそう。
適度に切ったロールケーキを私は皿に入れ、テーブルに置いた。
椅子に座って、皿をみながら…
ふと気になった。
時間も期間だ。
もう、0時を過ぎてる…
「どした?」
不意に聞こえた翔の声にボンヤリと時計を見つめた。



