「…すげぇ。なんか小さすぎてまだよく分かんねぇけど、生きてんだな」
「…そうだね。凄いよね」
「あぁ。そだ、美咲のお母さんに言わねぇといけねぇな」
「いいよ、私が言うよ。明日、衣類持って行かなくちゃいけないし」
「いや、でも俺からのほうがよくね?」
「つか、何でそんなに畏まってんの?」
クスクス笑う私に翔は眉を寄せた。
「だって普通そうじゃねぇの?」
「普通が分かんないからいい」
「なにそれ。そこはちゃんとしたいし」
「私からちゃんと言うからー」
見上げて微笑んだ私は持っていた水を少しだけ口に含み冷蔵庫に戻す。
「あ、そうだ」
閉めようとした冷蔵庫を翔の手によって阻止された。
「うん?なに?」
「これさ、ロールケーキ」
「うわっ、これ有名なやつじゃん」
翔の手で取り出された長細い箱のロゴを見て思わず声を上げる。
凄く有名で長蛇の列が出来るって言うロールケーキ。
「そうそう、そこの」
「えっ?何?もしかして並んだの?」
そう言った私に翔は苦笑いをした。



