「って、冗談。けどセンセーとして好き」

「…そう。ありがと」

「何?ちょっとガッカリした?」

「そんな事ある訳ないじゃん」

「だよなー…カッコいい男いるもんな」

「もしかして天野さんから聞いた?」

「聞いた」

「そっか。けど一条くんモテるじゃん」

「けど特別な奴はいない」


スッと笑みを消した一条くんはあたしの横を通り過ぎ、校門に向かって歩いてく。


「あたしも、好きだよっ!…生徒として」


悲しそうに歩いて行く一条くんの背中に向かって、あたしはそう叫んだ。

自分でも何でか分かんないけどそう叫んでしまった。



「ありがとー、センセっ、」


振り向かずにそう言った一条くんは手をヒラヒラとさせた。