「…軽蔑って…」
「まさか、私がって思った?そりゃそうだよね。援交なんて…」
「……」
やっぱ、そうなんだ。
そうなのかな?とは思ってたけど、実際本人から聞いたわけでもないから、確信とまではいかなかった。
でも今、本人から聞くと、やっぱりそうなんだって思った。
「ありえないって思ったでしょ?」
「いや…別に」
「だったら何で?凄い気にしてるように私を見てた」
「……」
「引くよね…」
「…彼氏は?」
「もちろん知らないよ。こんなの知られたら終わり。でも仕方ないの!!お金、必要なの!!」
「……」
「こんな私、最低とか思ったでしょ?」
そう言い放った天野さんはフイっと顔を背けて昇降口を出る。
「ちょ、ちょっと待って!天野さん!!」
天野さんの背後に声を掛けた私は急いで履き替えて天野さんを追う。
真っ暗な暗闇。
ほぼ生徒は帰っていて、私と天野さんだけだった。
「…何?」
今の天野さん、口調も態度も昔の私にそっくりだ。
「最低とか思ってもないし軽蔑もしてないよ」
そう言った私に天野さんは嘲笑的に笑った。
「センセー変わってるね。普通聞けば誰だって引くよ」
「……」
…そうだね。
だって、あたしもやってたから。
そう心の中で思っても口には出せなかった。
「って言うかさ、今どき珍しくもないでしょ?みんなやってるし」
「……」
「私は、私だけを信用としてくれる人だけでいいから。人にどう思われようが私は私だから」
素っ気なく、そして冷たく吐き捨てられる天野さんが、昔の自分とシンクロする。
まるで自分を見てるようだった。



