「…あれ?」


暫くしてボンヤリと見つめる先に私の視線が、ふと…止まる。

道を挟んで反対側の通路。


店がズラッと並ぶ、その前に居るのは…


「…天野さん?」


一瞬、私服だから分かんなかった。

高校生にしては少し派手な格好。

強いて言えば高校生には見えない風貌。

でも、私はそれが気になったんじゃない。

それじゃない…

それじゃないんだ。


…気になったのは隣に居る男の人。


彼氏なんて見た瞬間に思わなかった。

そんな男の人を見て、彼氏だ!なんて思わなかった。


だって、隣に居るのは中年の男の人。


天野さん、どうしたのその人?なんて一瞬たりとも考えなかった。

私の頭の中をスッと横切ったのは援助交際…


所謂、エンコウだった。


昔の記憶が戻ってきて、私と重なってく天野さんがどうしようもなかった。

まさか彼女がそんな事…って考えた事もなかった。


けど、お金が必要と言ってた天野さんは、昔の私とそっくりそのままだった。