「夜、空いてっから病院行くな」

「変な負担させてごめん」

「全然負担になってねぇし」

「…葵も、諒ちゃんもいつも行ってくれてるの。でも、私を見ると“ごめん”ばっか」


みんな、ごめんしか言わないの。

みんな、私にごめんって、そればっかなの。


「諒也も葵ちゃんもすごいお母さんの事、気にかけていたから」

「うん、だから私は凄く嬉しいよ?けど、私はまだ葵と諒ちゃん…ママに恩返し出来てないな」


“そして翔にも”


付け加えるようにそう言って、悲しそうに笑う私の頭を翔は数回撫でる。

そうしてくれるだけで、今は気持ちが和らぎそう。


「深く考えなくても諒也達は何も思ってない。俺もな。お母さんには…今、出来る事をやればいい。今、してあげられる事をしたらいい」


そう言った翔の撫でる手が物凄く温かかった。

今、出来る事。今、してあげられる事。


そう言った翔の言葉。

翔に寄り添いながら暫く考え、出てきたのは…


愛するママの為に、傍に居る事…


それが最大限の私の出来る事、してあげられる事だと、


そう思った。