「大丈夫?」

「うん」


コクンと頷く私は珈琲を口に含む。


「なら、いいけど…」


そう言った一条くんはフーッと息を吐いた。


「あ、そうだ。一条くんさ、昨日何してたの?」

「昨日は…寝てた。…何で?」


天野さんの言ってた通りだ。


「連絡ないからさ、何してんのかなーって」

「あー…俺、いちいち連絡しねぇから。つか連絡する奴なんかいねぇだろ」

そう言った一条くんは苦笑いをする。


「え?そうなの?」

「うん。俺した事ねぇわ。次の日聞かれたら言うくらい」

「へぇー…そうなんだ」

「だから俺が休みの時は居眠りで」


一条くんはニコっと口角をあげて微笑んだ。

これでいいのか?って思ってしまった。


先生の立場からしたらダメなんだろうけど、何故か“まぁいっか”と思う自分がいる。

それに、それほど子供って言う年齢でもないからそれ以上何も言えない。


相変わらず午後の授業も気分がすぐれないまま終わった後、職員室で資料をまとめる。

帰る頃には22時半をとっくに過ぎていて、身体もダルイ。


学校を出て正門を潜って少し歩いた時、私の足が思わず止まった。