次の日の朝、身体が思う様に動かなくって起きた頃には翔の姿はなかった。

リビングに顔を出すと、テーブルにはパンが置かれていて、そのパンを私は頬張った。

得にお腹なんて空いていなかった。


でも何かをしてないと落ち着きそうにもなかった。


とりあえず身支度を終わらせた後、私はすぐに病院へと向かう。

着いた先に出会うのは、やっぱし独特の病院のにおいだった。


…また、この臭いに出くわすなんて思ってもみなかった。


着いた頃は今から丁度、手術室に向かう途中でママと一切話さないまま別れた。

待つ間も無気力って言うか、身体に力が入らず、またこの場所に戻って来たんだって思った。


今更ながらに、この5年間楽しんでた自分自身がとてつもなく悲しく思えた。


何も食べないまま何も飲まないまま刻々と時間は過ぎ、カナリ手間取った手術なのか私が今から出向かおうとする時にママは手術室から姿を現した。

酸素マスクをし腕から管で繋がった点滴。


「…ママ」


病室でそう呼んでも返事なんて返って来ないこないのに、私は何度も呼んだ。


だけど時間は待ってはくれなくて、私は冴えない気持ちのまま学校に行き、いつも通りに黒板に字を並べてた。

正直、教える気になんてならなくて、でも教えなきゃいけなくて、そんな曖昧な感情が私の心を乱してた。