何がどうなってんのか分からない状況。
だって元気だったんじゃないの?
なのに、何で?
私が帰ってきて、まだ1カ月くらいしか経ってないじゃん。
なのに、どうして?
トイレでグッタリ倒れてるママを、私はつっ立って見る事しか出来なかった。
足だって、手だって震えてるからママを抱き抱えられそうにもないの。
いつからここにいた?
いつから倒れてた?
もしかして…
昨日から?
でも昨日は会社から電話がなかったから、きっと今日。
翔が来る時間、そんな事ばかりをずっと考えてた。
「美咲っ、」
暫く経ってドンドンと玄関のドアを叩く激しい音とインターホンの音に意識がハッとした。
急いで駆け寄って、玄関の鍵を開けると同時に翔は私を通りこしてトイレに向かう。
「救急車は?呼んだのか?」
倒れ込むママを触れる翔に私は首を振る。
「はぁ?何でしねぇんだよ、呼べっつっただろ」
翔の少し怒った声。
だって、怖くてそんな行動起こせなかった。
冷静になれる自分がいないんだもん。
翔は自分のスマホを取り出し、救急車を呼ぶ。
もう頭の中なんて真っ白だった。
だって状況すら掴めないんだもん。
そして救急車が辿りついたのは、とっくに0時を過ぎていた頃だった。



