その後詩季は自分の家に帰った。
 あれから彩女からメールがくることはなくなった。
 詩季からはいつも通り、おはようのメールや休み時間にくるメール、帰ってからのメールがくる。
 あたしはまだ緊張はするものの、朝以外でも外に出られるようになった。それを詩季に話したら、おめでとうって言ってくれた。
 梅雨入りした空が明るく、広くなった気がした。


 ♪〜
「詩季からだ」
『この間言おうと思ったんだけど、恥ずかしくて言えなかったので、メールで勘弁してください』
「勘弁してくださいって」
『櫻のことが好きです』
 詩季のメールはこの一文だけだった。
 詩季らしいといえばらしい。
 詩季はどんな顔でこのメールを打ったんだろう。想像してちょっと可笑しくて、笑ってしまった。
 なんでか目頭が熱くなった。
 あたしはしばらく空を見上げたまま動かなかった。