「萌、お母さんと今付き合ってる、陽介くんやで。」
お母さんは、ある日知らない、男の人を連れてきて言った
「(誰やねんコイツ。)」
私、藤田萌乃(ふじたもえの)は最初に思った。
3歳の私でも、付き合ってるくらいは分かっていた
「今、萌乃のお母さんと付き合ってる、森陽介やで、よろしくね。」
陽介という男の人は言った

初対面で今日あったばかりの男に人に、自分の名前を呼び捨てで呼ばれるのは何故か腹立たしかった
「呼び捨てで呼ばんといてか。」
一番最初の第一声がこれである
陽介という奴は少し驚いたように
「え…あ、ごめんな…。」と、言った

普通なら失礼だが、3歳の私は、奴を受け入れるのが嫌だった
そして、その日はいとこの朱李(しゅり)が泊まりにきた
朱李は、陽介のことが気に入ったらしく
お母さんもまだしていないのだが
「よーくんカッコええな!」
初対面で勝手にあだ名をつけ、陽介の頬にちゅっとキスをした