「けど何で殺す必要があるんだ?」



「そりゃぁ、孫娘が喜ぶからさ
自分より美しい白雪姫が生きていたら不愉快だからね」



女って恐いな…




「安心してください、オオカミくん
毒リンゴといっても、5日間ほど眠らせるだけです
マジョリーヌさんはそのこと知りませんがね
本当に殺しちゃったら僕ら逮捕されちゃいますからね」



苦笑いをして小声で伝えてくれる少年は、ばあさんの何なのかを聞いてみた



「え、僕ですか?
僕はマジョリーヌさんの弟子ですよ!」



「弟子?」



こんなばあさんに弟子入りするとは、物好きな奴だな…




「さて、そろそろわたしは行くよ」



「あ、待ってくださいマジョリーヌさん!」



ばあさんはリンゴを入れた袋を持って歩いていくところを少年は後ろから付いていった



「オオカミくんはこれからどうします?」



追いかける少年は振り返って俺に聞いてきた



これから…どうする?



そうだな、考えていなかった



まぁとりあえず、こんなんになってしまったが赤ずきんが持っているランプで元に戻れるかもしれないし、赤ずきんを探そう



けど無闇に探しても見つからなさそうだしな〜…



悩んでいると、少年は立ち止まり




「僕らと一緒に来ませんか?」



と笑って手を差しのべてきた



一緒に…か…



今まで1人だった俺は、ばあさんとこいつと一緒にいても結構楽しかったしな…


まぁ、群れてみるのも悪くねぇかもな…



「乗りかかった船だ
最後まで付き添うぜ!」



少年の手をとり、これからよろしくということもかねて、お互い握手した



「おい、何をしとるんじゃ?
早く行くぞ!」



「あぁ!」



「はい!」



ばあさんに怒鳴られて、返事をして走り出す





これからまた、俺の新しい人生が始まろうとしていた…







と思っている時、隣で少年が転けてばあさんの腰に頭をぶつけ、二人とも坂を転がっていった