「おい、何だよこれは…」
「すいません、ちょっと失敗しちゃったみたいですね…」
ハハハ、ともうしわけなさそうに笑う少年
「ちょっとじゃねぇだろ!?
かなりだよ!」
怒りが押さえらい俺は少年に怒鳴った
「すいません〜
でも、いいじゃないですか、二本立ちだし、言葉も喋れるし!」
「なに開き直ってんだよ〜?」
少年の頭を両手でグリグリ〜とする
「いたたた、許して下さいよ〜!」
「許すかよ!
こんな中途半端にしやがって〜!」
そう、この実験は失敗したのだ
といっても、俺はこの通り二本足で立てるようになったし、人間の言葉が話せるようになった
それはいいんだ
それはいいんだが…
「ほう、結構なもんじゃの
おい、オオカミ、そんな中途半端なままでも会話ができることに感謝したらどうじゃ?」
「あぁ?
こんな人間もどきなのにさせられて感謝だ〜?
ならまだ元の方が良かったぜ!」
「ふむ、人間もどきか…
なかなかうまいことを言うじゃないか!」
「こんの野郎…」
そう、俺はオオカミでも、人間でもない、〝人間もどき〟になってしまったのだ
見た目はオオカミだか、二本足で立って言葉を喋る
こんな奴、どこを探したって俺ぐらいしかいねぇよ…
「最悪だ…
こんなんじゃ森の奴らにも、人間の前にも出れやしねぇ…」
足に力が抜け、座りながら酷く落ち込んだ
好奇心なんかで、実験台になるもんじゃないな…
※あたりまえです



