今まで全く何もいなかったところにパッと電気がつく勢いで目の前に現れた。


でもコイツはアル中一歩手前のヤツのところに現れるらしい酒神というより死に神なんじゃ?


「仕事大変なんだから何回も呼び出さないでくれ」

「別に呼んでなんか」


白い毛がむくむくと大きくなってコップの上にフタのように乗った


「全くお前みたいなのが居るから酒が可哀想なんだ」


意味がわからない、俺はこの単語を何回言ったのかその前にアル中一歩手前はアイツ等もだったのか

「お前、酒は何のためにあると思う?」


「何って、ストレスを洗い流してくれる為?」


「はいブー。楽しむためにあんの」


この目の前の酒神は若い男のような声であきれたように言った


「楽しんでるよ」


「味わってる?ハイペースで飲んでさ二日酔いとかになってない?」


「あー……それは……」

「なるよね、そうじゃなきゃ出てこないし」


はぁー……っとため息をついたのか風なのかはわからないが確かに言えることはあきれたようだ


「やっぱり酒が可哀想だ」


「可哀想ね……」


俺の黄金ヘッドの周りをクルクル廻りながらまた酒神ははぁー……っと言った


コップの中の酒はいつの間にかなくなっていた。いや吸収されたといった方が正しい


「そう可哀想。アルコール依存症の患者約800000人越えてんの」


「800000人!?」


「それで死人とか暴力沙汰とか酒のせいにされるし」


「俺は違う!」

そうだ。俺はそんなことしない!したこともないしする暇もない


「ノン、ノン、ノン。俺が出てきた後もうちょいで死か刑務所いきか、病院送り」


俺はゾッとした。あと一歩のところで死か刑務所いきか病院送りかだなんて


「そんな……」


「飲むな!……とは言わないさ。限度を考えろよ死にたくないなら」
未だにクルクル廻る酒神を見上げる

「俺はそういう奴がふえて仕方ねーんで忠告してるわけ。OK?」


「……OK」


首を上下にふった