死刑は死刑囚と死刑執行人の信頼関係なくして上手くいかない。
死刑囚は一瞬で死にたければ絶対に動いたりはしない。
死刑執行人はそんな死刑囚の首を一瞬で刎ねる。
振り上げた大鎌が日差しを反射した。
そして振り下ろされる。
一瞬で絶命した死刑囚の首があった場所の向こうには夏であるにも関わらず丈の長いコートをきっちりと着込み、マフラーで顔を半分も隠した少年が大鎌を振り切った姿で在った。
死刑執行人の家の筆頭、古い神の末裔であるその少年は全くぶれない仕事を成した後、すぐ傍にいた男と一言二言言葉を交わすと去っていった。
死刑囚だった者は乱雑に回収され、協会の裏手の墓地に連れて行かれた。