2人が帰ってきたのは、2人が暮らしていた狭い家だった。
「レシェフ……」
ネイトがレシェフを見上げると、レシェフは少し乱暴にネイトの頭をぐしゃぐしゃに撫でて、ネイトをさっさと引きはがして着替え始めてしまった。
ネイトはあれこれ、いいたいこととか、何をすればいいのとか、聞きたいことがあるんだとか、いろいろなことを迷ってそれでもこれだけは言わなくてはと意気込んでレシェフを呼んだ。
もしかしたら、と淡い期待を抱きつつ。
「レシェフ!」
ネイトに背を向けていたレシェフが振り返る。
「ただいまっ」
ネイトの幸せそうな満面の笑みにレシェフは驚き、そしてふっと吹き出して笑い、それから呆れたような笑みを浮かべた。
「おかえり、ネイト」
ネイトははっとして、それからへへっと嬉しそうに笑った。


ただいま。
おかえり。
ずっと言いたかった言葉は、安心と嬉しさがある、家族にだけ許されたもの。