幼なじみじゃイヤなんだ。 Before

「私のこと嫌いになったんじゃなくて、良かったぁ…」






震える声で言葉を紡ぐから






「私も流瑠の事が大事。誰よりも大切」






その目にいっぱい涙を溜めて、嬉しそうに笑ってそう言うから。







「桜のこと、嫌いになんてなれない。これからもずっと、どんなことがあっても嫌いになることだけはない」







思わず抱き締めてしまいそうになる。






でも、ずっと一緒にいたから分かっている。



桜にとって俺は、大事で大切な“幼なじみ”で、それ以上ではない。





そして、鈍感な桜は、俺が言葉に込めた本当の想いには気付いていない。