幼なじみじゃイヤなんだ。 Before

保健室の前に立つ、上がった息を2回の深呼吸で落ちつけてから扉を開いた。


瞬間、保健室の開け放たれた窓から、爽やかな風が一気に流れ込んで来る。







──俺は桜を傷つけた。






養護の先生はいない。

カーテンが閉められているひとつのベッドが目に入る。






──俺が思っている以上に桜は傷ついているのかもしれない。






風に吹かれてカーテンがフワッとなびく。







「…桜?」





姿は見えないけど中にいるだろう桜に声を掛ける。





「…え?流瑠?」





中から弱々しい声が聞こえてきた。

その声を聞いて思わずカーテンに手を掛ける。






「やだっ!開けないで!!」






でも、聞こえてきたのは拒絶の言葉だった。