幼なじみじゃイヤなんだ。 Before

ひとつも言葉に出来ない。






「わかった。否定しないのはそういうことだよね……安心して、もう流瑠には何も話し掛けないから…約束してたゲームも無理に一緒にしなくていいから…」





絞り出す様にそう言い残し、桜は俺に背を向ける。



そのままフラっと歩き出した桜の腕を、無意識に掴んでいた。






「桜!」






桜の体がビクッと跳ねる。

そのまま、振り向かないまま、桜が口を開く。






「…触らないでよ…私も嫌い!流瑠なんか!!」






桜の涙の粒が、ポタポタと廊下にしみを作っていく


俺は心臓を握り潰された様に、胸に鋭い痛みを感じていた。