幼なじみじゃイヤなんだ。 Before

「…ってぇ……」





左肩には、流瑠の左手。

右頬に触れるのは、流瑠の胸。

頭の上には、ボールを弾き飛ばした流瑠の右腕。


いつの間にか引き寄せられていた私の体は、流瑠の左腕にコンパクトに収まっていた。





「大丈夫?桜?」


「う、うん。私は大丈夫だけど……流瑠は大丈夫!?」


「うん。これくらい平気だよ」





こっちを向いて笑った。



…え?

流瑠って…?







「あ、ありがとう」






──学校中に予鈴のチャイムが響き渡った。