[凛李愛side]

桜妃学園に入学して2ヶ月がたち…

今は6月。


今日も雨…

最近はずっと雨。


「凛李愛、私今日委員会の仕事で遅くなるから先帰ってて」

「うん、わかった。頑張ってね」

「おぅ!凛李愛も気をつけてね!」


親友の琉生と別れ、あたしは玄関に向かった。


内履きからローファーに履き替えて外に出る。


「はぁ…雨なんて嫌い」


そう呟いて1歩足を踏み出した時…


冷たッ!

あたしなんで傘さしてないのよ!!

てか…傘、ない…??

あ…

今日、傘忘れたんだった…

どうしよ…

走って帰る…?

でも濡れるのは嫌。

それにあたしがずぶ濡れで帰っているところを誰かに見られたら…

未月財閥の恥よ!!


これは…琉生を待つしかないのかしら。

委員会の仕事がいつ終わるかも分からない琉生を…


あぁ…

誰か…

助けて…


「…何してんの?」



ビクッ!



篠宮 莉央!


「別にあたしが何してようとあんたには関係ないでしょ!」

「まぁそうだけど…傘忘れた?」

「…ッ!!」

「こんな日に傘忘れるとか…バカだな」

「うるさいッ!」


朝は降ってなかったから忘れるのも仕方ないでしょ!


「はぁ…俺の傘、使う?」

「え…いいの?」

「…まぁ」

「あ、ありがと…」


何よ!

たまには役にたつじゃない!

私の代わりに濡れて帰りたいってことね!

こいつもやっと凛李愛様に仕える心が芽生えたのね。

感心感心…


「…は?何、その手」

「…?だって傘貸してくれるんでしょ?早く貸して」

「…お前に貸したら俺が濡れんじゃん」


あぁ!?


「あんたなんか濡れてもいいわよ!てか濡れなさいよ!!」

「いやこれ俺の傘だし」

「じゃあさっきのはなんだったのよ!?」


何が"俺の傘、使う?"よ!!


「はぁ…一緒に入ればいいだろ?」

「…?」

「めんどくせぇけど…俺がお前ん家まで送ってやる」

「はぁ!?あんたに送ってもらうとか無理!」


てか一緒に入るって相合傘じゃん!!


なんであたしがこんな奴なんかと…!


「じゃあずぶ濡れで帰るんだな、じゃ」

「あっ!ちょっ、待ってよ!」

「…何?」

「し、仕方ないから帰ってあげるわよ、一緒に」

「それが人にモノを頼む時の態度かよ」

「なッ!?」


こいつ…

偉そうにっ!!!


チラっと篠宮 莉央を見るとジッとこっちを見ている。


うぅ〜

もーーーーッ!!!


「お願いよ…濡れて帰る訳にはいかないの…」


…屈辱ッ!!!

もうこいつにこんなこと絶対言わないッ!


「…お前にしてはよくできたじゃん」


そう言った篠宮 莉央の手が頭上にきて…



ポンッ…



え…?


頭をくしゃくしゃと撫でる篠宮 莉央。


「……?????」


あたしの頭は混乱状態。


「…お前撫でると大人しくなるのな」

「…??」

「ふっ…なんだよその顔」


クスッと笑った篠宮 莉央は頭から手を離し、透明なビニール傘を開いた。


「ほら、行くぞ」

「…あ、うん」


なんだったのかしら、今の…


ほんとはこんな奴の傘になんか入りたくないんだから。

こんな奴と相合傘なんかしたくないんだから。

こんな奴と一緒に帰りたくなんかないんだから。


2人で入る傘はとても小さく感じて…


「なぁ、もっとこっち来いよ。そんなんじゃ濡れるぞ」

「……」

「無視すんなよ」

「ひゃぁッ!?」


突然引き寄せられた身体。

あたしたちの距離は縮まって…


「近すぎでしょ…」

「こうしなきゃ濡れる。で、家どこ?」

「…ここまっすぐ」


篠宮 莉央なんて大ッ嫌い…


なのに…

今は…


「何?」

「なッ、なんでもない!!」


視線が合う。

それだけで心拍数が上がる…


「…ッ///」


たまに触れる、肩と肩。

それだけで身体が熱くなる…



一緒に帰っている、ただそれだけのことなのに…


嬉しい、なんて…


あたし…

どうしちゃったんだろう…