「茂里っ!」




振り返ると、こっちに走ってくる柳瀬の姿があった。



あたしはすぐにそらし、また俯いた。




「もう帰ったと思ってたら、グラウンドにしゃがみ込んでたからどうしたのかなって思って」



・・・

なんで?なんであたしの所に来たの?



川西さんの所へ行って、

いつまでも二人で愛し合いなさいよ。


あたしなんて、ほっといて、二人で愛し合いなさいよ。



あたしなんか相手にしなくても、

川西さんが居るじゃない?




「茂里、泣いてるのか?」



柳瀬はあたしの肩に手をそっと置いた。



「やめてっ!!そんな手であたしに触れないで!!」



あたしは柳瀬の手を思いっきり払いのけて、睨んだ。


川西さんに触れた手であたしに触れないでよ。