図書室を出たあたしは、カバンを取りに教室に戻ろうとした時、
「……だ」
誰かの声がした。
「あっ」
何言ってるのかあんまり聞こえないけど、
柳瀬の声だというのは分かった。
「ねぇ、先生」
……え?
女の子の声?
誰と一緒に居るんだろう。
あたしは声がする方に恐る恐る近付いてみると、
音楽室に柳瀬と女子生徒一人が居た。
あたしは空いている窓から少し見る事にした。
って、これって、あたしがWarmthで
働く前にもした行動と一緒じゃん。
拓未くんと女の人が……
二人は向き合ってる状態だった。
柳瀬はこっちに背中を向けている状態で、
あたしからは顔は見えなかったけど、
女の子の顔はハッキリと見えた。
「あ、あの子……」
最近、柳瀬にかなり近づいていた川西さんだった。