「もし好きなら、叶わない恋なんて、悲しいだけだからやめなよって言おうと思ったんだけどね」


拓未くんはあたしにそう言って、

肩をポンと叩くと、去って行った。



「・・・」



なんだか良く分からない胸の痛み。

自分でもどうして良いか、分からない。

どうしたいかも分からない。



ふと柳瀬の方に目をやると、


胸が締め付けられた。



「違うよ……」


あたしは自分にそう言い聞かせた。



違う、恋なんかじゃないよ。



あたしはそれから、

ずっとボーッと

していた。