「すみません」


あたしはそう言って、去ろうとした時、


「ねぇ」


と、呼び止められた。


「はい?」


「琥珀チャンてさ……あの人の事好きなの?」


・・・っ!?


「はっ、はい!?」


吃驚しすぎて声が裏返ってしまった。


好き?

あたしが?


そんな訳無いじゃん。



「だって、顔赤い」


拓未くんは手であたしのほっぺに触れた。

あたしはその手を払いのけ、


「そんな訳、無いじゃないですか」


「だよねぇ。だって、相手は教師だもんね?」



ドキン──




何、あたし動揺してんだろう。

分かってるよ、好きなんかじゃないもん。


なのに……

なんで、こんなに拓未くんの言葉に反応してしまったんだろう。