「ごめんね、琥珀ちゃん。あたしもこいつに辞めてもらいたいって何回も思ったんだけど、拓未かなりお客さんから人気あってね。拓未目当てで来る人も多くて……だから辞めさせたら店が潰れちゃうって感じでさぁ」
「そうなんですか・・・」
この男目当てでカフェに来る?
世の中の女子の目はどうなってんのよ。
あんな最低な男のどこが良いって言うのよ。
「あっちにスタッフの休憩室があるから、そこで色々と拓未に教えてもらってね。頼むよ、拓未」
「りょうかーい」
男はそう言うと、ポケットに手を突っ込み休憩室に行った。
あたしは渋々その後ろをついていく。
部屋に入ると、男はイスにどかっと座り、あたしの顔をまじまじと見つめた。
「なっ、なんですか……」

