素直じゃないあたしを温めて


あたしはおばさんの話を聞いてもただただ、涙を流す事しか出来なくて。何も言えなくて。


美砂も体を震わせながら泣いていて。




「お姉ちゃん……」



そう震えた声で言った美砂の手を強く握りしめた。



「今週末、美奈子の入院している病院に行くの。県外の病院なんだけど……琥珀ちゃん達も……行く?」






何も知らなかった、母親の事。

ずっと誤解して此処まで来た。



ガンなんて、知らなかった。もう生きられないかもしれないなんて……





「行きます」





あたしは、そう強く言った。



美砂もそれに応えるかのように、
握っていた手に力を入れた。



「お母さんに、会いに行きます」