「ねぇ、天王寺さん。やっぱり、これ着るの変わってくれない?」
あたしは天王寺さんの所に駆け寄ってお願いした。
柳瀬に見せるのが恥ずかしくなってきた。
執事とメイドって……
意味が分からないシチュエーション。
そんな格好をしたあたし達が同じ場に居るって……
何か考えただけで恥ずかしくなってきて、
居たたまれなくなった。
「もー!だから、自信持ちなって!似合ってんじゃんかっ、私はメイドってタイプじゃないの」
「あたしもそういうタイプじゃ──」
「きゃあああっー!」
「なっ、なに!?」
突然廊下から女子の叫び声が聞こえて、
あたしと天王寺さんは廊下側の窓に駆け寄った。
「っ……!」
目に飛び込んできたのは……
完璧に執事のスーツを着こなしている、柳瀬の姿。

