「ねぇ、柳瀬」
「ん?」
あたしがさっきの沈黙を破ると、
俯いていた柳瀬はあたしの顔を優しく見つめた。
「あたしね、いつも柳瀬や美砂に助けられてきた」
「……」
「辛い事があったら傍に居てくれたし、話も聞いてくれたし、あたしの事分かってくれるし……すごく助けられた」
今、あたしの周りに居る人たちはどれだけ優しくて心の温かい人ばかりなんだろう、
と最近考えるようになった。
今なら胸を張って言える。
『あたしは幸せ者だ』と。
「あたしね、いつも人に頼ってばかりだった」
頼って、頼って、頼って。
誰かが傍に居ないと、
あたしはやっていけないんだと、
最近気付かされた。
誰かが傍に居てくれないと、
自分一人じゃ何も出来ない人間なんだと、気付いた。
でもそれは……あたしだけじゃないと思う。
一人でも大丈夫だ、と強がっても
心のどこかでは誰かを必要としている。
でもそれを誤魔化そうとするから、
余計に苦しくなる。
本当は、人間は一人じゃ生きられないんだ。

