「お客さん!!困ります!勝手にうちの子連れていかれちゃ……」


「ああ?何がうちの子だ。コイツは俺の生徒だ。まだ未成年。そんな子供を働かすなんて何考えてんだよ。こっちが困るっつーの」


柳瀬はそういうと、

店のドアを荒々しく閉めた。



どんどん歩いて、怪しい商店街から抜け出していく。



「ちょっと、痛いって、離してっ!!」



その言葉を聞いた柳瀬はスッとあたしの手を離した。



「せめて給料貰ってからにしてよ!あーもう最悪。今までの苦労ムダじゃん……」



ほんと、今まで我慢してたのは何だったの?

何のために嫌な思いしてまで働いたの。


こんな形で出て行っちゃったら給料とかもらえる訳無いじゃん。
しかも未成年ってバレちゃったし。

何もかも柳瀬のせい。

っていうか、どういうつもりよ。


「そこ、座って」


柳瀬は、ちょうど近くにあったベンチを

指さしてため息をついた。



こっちがため息つきたいんですが。