「あたしを……好きになってくれて有難う。それと……好きになれなくてゴメン……」 そう言うと、山崎くんはニコッと笑い、 鍵を開け、音楽室から出て行った。 ……ごめんね、山崎くん。 あたしは自分で自分の手を握り締めた。 「茂里……」 柳瀬があたしの隣に座った。 「気付いてやれなくて、ごめんな」 そう言って、あたしを優しく抱きしめてくれた。 久し振りの柳瀬の温もりに、ほっとしたのか、愛しいのか…… 涙が自分でも驚くくらいに溢れて来た。 「あたしもっ……ごめん……っ」