「優也は優しいわねぇ……」
母さんはそう言うと、兄貴の事を優しく見つめて、微笑んだ。
さっきまで、俺に向けていた目とは全然違う。
まるで、別人みたいに。
毎日家族が集まる時はずっとこんな感じだった。
母さんが俺と兄貴を比べて、
兄貴を褒め倒したあと、俺を侮辱する。
もう、うんざりだった。
「もうすぐ期末テストでしょ?頑張りなさいよ」
母さんは冷たく言い放った。
「うん……」
俺は小さく頷いた。
俺の味方は、父さんだけだと思ってた。
なのに……
この前、父さんが俺に言った一言で絶望した。
「なぁ、もう母さんのお前への侮辱は聞きたくないんだ。だから、もっと勉強頑張ってくれないか?」

