素直じゃないあたしを温めて


「……分かってる」


「この前なんて、6番だったでしょ?全然駄目じゃない」



母さんははぁ、と深いため息をついた。



7クラスある中で学年で6番。

世間一般からしたら、かなり頭の良い方だと思われるに違いない。



でも、母さんは6番なんて順位じゃ満足しない。



「どうして優也と拓未はこんなに違うのかしら……」


「まぁまぁ、母さん。拓未も頑張ってるんだし」



兄貴が俺の事をフォローした。

ちっとも嬉しくない。



何でお前にそんな事言われなきゃならないんだ。



俺は、昔からずっと兄貴の事が嫌いだった。



嫉妬とか、そういうのじゃない。



性格そのものが大嫌いなんだ。

母さんの前だけ優等生ぶって、裏では未成年なのに煙草も吸ってるし、お酒も普通に飲む。



ちょっと苛々したら、俺にあたって殴って来た事もあった。