俺は、母さん曰く“失敗作”だったらしい。
「優也ー拓未ー、ご飯よー」
母さんがリビングから俺達に向かって言う声が聞こえた。
また、あの時間が始まるんだ……
そう思うと、うんざりした。
シャーペンを動かしていた手を止め、
ため息をついてから下に降りた。
「今日は、優也の好きなものばかりにしたわよ。貴方、頑張ったもんね」
母さんが、兄貴の方に満面の笑みを浮かべ、机に並んでいる豪華な食事を指さした。
俺はそんな母さんを横目で見ながら、イスに座った。
はしを取り、からあげを食べようとした時、
「優也は偉いわねぇ……学年で1番だもの。拓未もお兄ちゃんを見習いなさいよ」
始まった。
俺と兄貴を比べる母さんの癖。

