「早かったね」 「仁奈を待たせられねぇからな」 「ありがと・・・あれっ、今日メガネは?」 いつもしている黒縁のメガネをかけていなかった。 「かばんの中に入ってる」 そういって玄関から自転車を出す。 「ほい、どーぞ?お姫様」 またがって後ろの荷台に目をやってから私のことを見た。 「あははっ、私が姫なら翔平は何?」 荷台にまたがって笑いながら話にのる。 「んー・・・王子?」 「自転車に乗る王子はいませんよー」 「あははっ、んじゃあ、こぐからなー」 「うん」