「俺、七虹が好きだ。」

そう、言い放った。

きゅ、と唇を紡ぎ、他の言葉が出ないよう、抑えた。

「えっ…………………」

「………なな、こ…?」

「………………………」

黙り続ける七虹の目線は、
俺を突き抜けて、その後ろな気がする。

何、なんかあんのか?

後ろを振り向いてみるも、
特に何もないし、誰もいない。

「なぁ、七虹?」

「…」

「……なんか、言えよ。」

「…あっ…、ごめん…。
び、びっくり、して……っ」

「あぁ、うん。ごめんな、急に。」

「うん……。」

握ったままだった七虹の手首をそっと離す。

(返事…今、聞きてぇ…。けど…
今だと多分、俺の事、なんとも思ってないんだろうな…)

「七虹、あのな。
今、返事出さないで、いいから。
もうちょっとだけ、俺に、時間くれないか、な。」

「……う、ん…。
分かっ、た…」

こんなオドオドした七虹を見るのは、
初めてだ。

顔を赤くして、動揺しているのがバレバレで。

いつも落ち着いている、普段の彼女からは、あまり見られない姿だろう。

「……よし、帰ろうか…?
送ってくよ。」

「あ、うん。…ありがとう。」