もう春先なのに、少し冷える



私は腕を擦りながら
商店街の総合案内の地図に
目をやる



ハローワークってどこかしら



うーん、





ひとりでずっと睨めっこを
していたら


誰かに声をかけられた



『お嬢ちゃん、もしかして
迷子かい?』



顔だけ向けると


優しそうに微笑んでいる
老人が立っていた



「そうだとしたら何なのかしら??」


――違う、
こんな風に思ってないのに



『儂(わし)で良ければ案内
してあげよう』


「……」



こんな風に優しくされたのなんていつ以来だろう



こういう時は何て言えば……