お嬢様と執事。~桜の奇跡~










彼の優しさが私には逆に
辛かった




「……降ろして」




本当は感謝しているのに




「迷惑かけて悪かった、
とでも言うべきかしら」




口から出てくるのは真反対の
言葉達ばかりだ





『いいえ、
そのようなもったいないお言葉は私には不要でございます』



「……」



そういう風に言われるのが
一番困るのに



「早く買い物を済ませるわよ」


『はい』