お嬢様と執事。~桜の奇跡~










――キキーッ!!

「……っ!?」



タイヤが地面をこする嫌な
音が辺りに響き渡る






ぶつかる……!


私はギュッと目を閉じた




『桜様っ!!』










――あれ?



私、生きてる……?





固く閉じた目を開いて見ると


私は彼の腕の中でお姫様だっこをされていた



「……」


『お怪我はございませんか?』


「それより貴方こそ大丈夫なの!?」



『私は大丈夫です

私は桜様をお守りする義務が
ございますので、
そのようなお気遣いは無用で
ございます』



「……!」





私なんかのためにここまで
してくれなくていいのに、


私に守られる価値なんか
ないのに、





私には何もないのだから