私じゃなくて 『桜様、』 氏原の家を見ているから? 『桜様?』 「……え?」 『1階に着きましたよ』 「あ、ありがとう」 ぼんやりしていたから エレベーターが止まった 事に気がつかなかった どちらにしても彼だって 他の人と同じだろう 私に存在意義なんてない ずっとそうやって生きてきた そして、これからも――